おかんおかん

ハマるぞ!伊岡瞬』。

書店でこのポスターが目に入って、ついふらふらと1冊買ってみた。

まさに思う壺。すっかりハマってしまったよ! :mrgreen:

 

今回は、わたしがドはまりして全作読み終えた伊岡瞬の小説をご紹介したい。

 

気に入った作家が見つかったとき、その作家ばかり読んでしまうんだよね~。このタイプ、これから松本清張や星新一みたいな多作の作家のファンになると困るね、いや楽しいかな?(笑)

 

実のところ、伊岡瞬のデビュー作「いつか、虹の向こうへ」だけは既に読んでいた・・・。というのも、横溝正史の大ファンなので、KADOKAWA主催「横溝正史ミステリ大賞」の大賞受賞作は必ずチェックしているからだ。伊岡瞬の「いつか、虹の向こうへ」は、第25回(2005年)に大賞とテレビ東京賞をダブル受賞している。

 

そんな話題作が記憶に残ってないとは。ということで、今回こちらも読み返してみた。すると、下でも述べるように、この受賞作は、伊岡瞬が繰り広げる「イヤミス」の世界感が薄く、ハートウォーミング💛な王道的ハードボイルドなのだ。もちろんダブル受賞も納得がいく、それぞれのキャラクターが立った面白い作品ではある。

 

「イヤミス」とは、ミステリの中で、読んだ後に文字通り「イヤ~な気分」になる小説のこと。

 

事件が解決しても、スッキリとした満足感が得られるわけではなく、人間の心の奥にある醜い心理があばかれていく。それでも、読み進むことが止められない、後味が悪いながらも癖になる小説のことだ。

 

イヤミスの女王、湊かなえについてはコチラ↓の記事をどうぞ。

 

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尾木遼平、46歳、元刑事。ある事件がきっかけで職も妻も失った彼は、売りに出している家で、3人の居候と奇妙な同居生活を送っている。

そんな彼のところへ、家出中の少女・早希が新たな居候として転がり込んできた。彼女は、皆を和ませる陽気さと厄介な殺人事件を併せて持ち込んでくれたのだった……。

優しくも悲しき負け犬たちが起こす、ひとつの奇蹟。第25回横溝正史ミステリ大賞& テレビ東京賞をW受賞した著者のデビュー作。

 

伊岡瞬作品は毒々しい(笑)ものだけではなく、ほっこりするものもあるのだが、今回は伊岡瞬「イヤミス」ベスト5作品を勝手ながら選ばせてもらった。

 

おかんおかん

ラストが気になって、読み始めたら止まらない!

睡眠不足にご注意(笑)。

 

「代償」-胸くそ悪くなるモンスター

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KADOKAWA
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平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。

運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。

裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?衝撃と断罪のサスペンスミステリ。(Amazon co.jp)

 

30万部を突破して、全国の書店で続々1位を獲得し、まだまだ売れ続けている、伊岡作品がブレイクし始めたきっかけとなる作品。

 

まずはこの「代償」から読んでいただきたいのだけど、実に胸くそ悪くなる(嫌)モンスターが出てくる。前半部(1部)は、暴力や虐待などの描写がかなり続くので、これは無理だなと思われる方にはおススメしない。

 

後半部(2部)で、前半の伏線が回収されていき、「代償」というタイトルの意味が明かされていく。そこからはページをめくる手が早まる。

 

ちなみに、いわゆる「ノワール小説」(ギャング、殺人鬼、ギャンブラー、犯罪常習者などのアウトローを主人公にした小説)のように、卓越した知性を持っていたり、悪(ワル)の魅力を備えていたりする犯罪者が出てくるわけではない。本当はこっちの方が好みかな。

 

かな~り古い作品になるけど、悪党小説の最高傑作は、高木彬光の『白昼の死角』

 

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「悪寒」-サラリーマンの悲哀

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大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。

鬱屈した日々を送る中、東京で娘と母と暮らす妻の倫子から届いたのは、一通の不可解なメール。“家の中でトラブルがありました”数時間後、倫子を傷害致死容疑で逮捕したと警察から知らせが入る。

殺した相手は、本社の常務だった―。単身赴任中に一体何が?絶望の果ての真相が胸に迫る。(Amazon co.jp)

 

こちらは「代償」の延長線上にあるといってもいい作品。

 

これまた、最初から、派閥争いに負けて都落ちし、飛ばされた先でもジクジクといじめられるサラリーマンの悲哀が延々と続く・・・(>_<)。これが伊岡峻ワールドと言えなくもないが、カタルシスが得られるまでの不幸の連続は、読むのがしんどいよ 😥 。

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しかし、法廷サスペンスと思いきや、先に進めば進むほど、家族の絆を扱った人間ドラマという側面が強くなってくる。

 

伊岡峻の小説には、とりたてて際立ったところのない典型的な中年男性がよく出てくる。柔軟性に欠けた堅物で、大した腕力もない。「悪寒」の主人公、藤井賢一もその一人。

 

だからこそ、読みやすく、多くの人々が知らぬ間に感情移入してしまうのかな。また、その普通さがかえって、ミステリとして、物語がどう展開していくのかを分かりにくくさせている。

 

皆さまは犯人を予測できるかな?

「本性」-この女から逃れられない

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40歳独身の尚之は、お見合いパーティーで“サトウミサキ”と出会う。彼女の虜となり逢瀬を重ねる尚之だが、結婚の話が進むにつれてミサキは不審な行動を見せ始める。

一方、若手刑事の宮下は、一匹狼のベテラン・安井の相棒として、焼死事件を追っていた。単純な火災事故のはずが、安井だけは裏に潜む事件を確信しており―。

関わる者を必ず破滅させる女、その正体とは?全ての謎が繋がるとき、あなたを再び衝撃が襲う!(Amazon.co.jpより)

 

気づけば家庭の中に入り込み、男たちを翻弄させて破滅へと導いていく謎の美女イトウミサキ。

 

こう書くと、東野圭吾の「白夜行」や「幻夜」のヒロインを思い浮かべる人も多いかも。もしくは、実際の連続殺人事件をテーマにした、柚木麻子の「BUTTER」のような結婚詐欺ミステリを予想した人もいるだろう、

 

でも、本作品は、ストーリーが複層的に描かれていて、単なる結婚詐欺かと思わせるエピソードからだんだん発展していき、ミサキ自身の描写も少なくなっていく。イトウミサキが終始カタカナで書かれていることも、その表れだ。そして、女の「本性」が次第に明らかになっていく。

 

伏線はスッキリとは回収されず、読後感もまさにイヤミス。でも、文庫本500ページ弱を飽きずに読み進めていけるのはさすがのストリーテラー。これきっと続編が出るね 😎 。

 

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「不審者」-深淵をのぞくとき…

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会社員の夫・秀嗣、五歳の息子・洸太、義母の治子と都内に暮らす折尾里佳子は、主婦業のかたわら、フリーの校閲者として仕事をこなす日々を送っていた。

ある日、秀嗣がサプライズで一人の客を家に招く。その人物は、二十年間以上行方知れずだった、秀嗣の兄・優平だという。現在は起業家で独身だと語る優平に対し、息子本人だと信用しない治子の態度もあり、里佳子は不信感を募らせる。

しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。それ以降、里佳子の周囲では不可解な出来事が多発する。『代償』の著者が贈る、渾身のサスペンス&ミステリ。(Amazon.co.jp)

 

本筋とは関係ない話だが、主要登場人物の一人、里佳子の職業は校閲者であって、翻訳者とちょいちょいかぶる部分があって興味深い。翻訳者はなぜかミステリに登場することが多いのだけれど、現状といささか違う気が・・・ 🙄 。

 

さて、本筋に戻ろう。この作品、最初は櫛木理宇の「浸蝕 壊される家族の記録」のように、ある日他人が家族の中に入り込み、家庭をだんだんと浸蝕していく話かな?と想像していた。

 

この手の話はちょくちょくあって、しかも名作が多い。

 

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結論としては、見事に予想をくつがえされて、意外な方向に話が進んでいく。レビューの中には「初めから見破ってたよ~」という方もいらっしゃったが、わたしはしっかり騙された口。

 

「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」

 

このニーチェの有名な一説が何度か出てくるが、これが一つのカギになる。

 

若干、展開には強引な部分もあって、わざと誤解を招くような誇張された表現も気にはなるものの、どんでん返しミステリとしては◎。

 

「痣」-祝!徳間文庫大賞

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真壁を引き止めるかのように、奥多摩分署管内で連続美女冷凍殺人事件が発生。浮き足立つ署員たちの中で、ひときわ動揺している刑事がいた。

二週間後、妻の命日を機に辞職すると決めている真壁修だ。被害者の左胸にあった木の葉のような印。それが、在りし日の妻の左胸にあった痣と酷似していたのだ。

妻を殺した犯人は、死んだはずだった…。なぜ犯人は、俺を挑発するのか―。

 

祝!徳間文庫大賞2020受賞!

 

伊岡作品には珍しく、『悪寒』に登場した真壁刑事と、『悪寒』『本性』に登場した宮下刑事が、『痣』でも主要人物として描かれている(順番は『痣』が一番先)。

 

こちらは上記の二作と違って、ほとんど警察が舞台となって、真壁と宮下が奥多摩分署をかけ回る。他の個性の強い警察官たちもキャラ立ちしていて、「警察小説」として十分に楽しめる。

 

「代償」のような衝撃はないけれど、イキイキとした人物描写のせいか、映画を見ているように楽しめる。いや、本当、この2人を主人公にして映画アリかも?シリーズ化にも期待。

 

 

おかんおかん

皆さま、読んでみたくなったかな?

お家ステイの時間が増えてる今、伊岡峻にハマってみてね。

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