行定勲監督の儚く切ないラブストーリー
TVは地上波は最近あまり見ずに、ここ石垣島ではもっぱら「Amazonプライムビデオ」と「WOWOW」を楽しんでいる。
大阪ではJ-COMに加入していて、贅沢にもチャンネル数が多すぎる! 🙄 。このくらいでちょうどいいのかなと思っているこの頃。
アマゾンプライムビデオでは、いろんな映画やビデオをトップページでおススメしてくれるのだ。
ホラーをよく観てる(笑)ものだから、その手のジャンルが多いのだけど、今回「窮鼠はチーズの夢を見る」という新作映画がお勧めに出てきた。
正直なところ、大倉くんは関ジャニの一員で、関ジャニの中では一番のイケメンかな?というくらいの認識しかなかった(失礼 )。バンドではドラマーなので、歌の印象もあまりなく、出演しているドラマや映画もこれまで多分ほとんど見たことがなかった。
ただ、この映画、『世界の中心で愛を叫ぶ(通称、セカチュー)』をはじめ、恋愛映画の達人、行定勲監督の最新作だというので、興味本位に観てみることとした。
ところが、こちらの作品、良い方に予想を裏切られ、現役アイドルと若手きっての実力派俳優の組み合わせというキャスティング先行の映画かと思いきや、わたしのようなシニア世代も、胸がキュッっと絞めつけられるような儚く切ないラブストーリーだった。さすが、行定監督!
学生時代から「自分を好きになってくれる女性」と、受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた大伴恭一。
ある日、大学の後輩、今ケ瀬渉と7年ぶりに再会。「昔からずっと好きだった」と突然思いを告げられる。
戸惑いを隠せない恭一だったが、今ケ瀬のペースにのせられ、二人は一緒に暮らすことに。ただひたすらにまっすぐな想いに、恭一も少しずつ心を開いていき...。しかし、恭一の昔の恋人・夏生が現れ...。
「失恋ショコラティエ」の水城せとな原作
本作品の原作は、TVドラマ化もされた「失恋ショコラティエ」の作者である水城せとなのマンガだ。映画では、映画のタイトルである「窮鼠はチーズの夢を見る」に加えて、その続編「俎板の鯉は二度跳ねる」も含めている。
なお、マンガの方は読んでおらず、映画だけを観た感想なので、原作と実写化との違いはわかりません🙇。
この不思議な2つのタイトルから、すぐに思いつくのは2つのことわざ。
「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」-(追いつめられた鼠が猫にかみつく意) 弱い者でも絶体絶命の立場に追いつめられると往々にして強者に反撃する。必死の覚悟をきめれば、弱者も強者を苦しめる意のたとえ。
「俎板(まないた)の上の鯉」-(俎板の上の、料理されようとしている鯉(魚)の意から) 相手のなすがままになるよりほかにどうしようもない状態。死を待つよりほかに方法のない運命のたとえ。俎上(そじょう)の魚。
映画を観た後は、なぜこのようなタイトルがつけられたのか、その意図が伝わってくる。どちら(誰)が「鼠」なのか「猫」なのか、そして「鯉」なのかは、おそらく、人によっても、その時々のシチュエーションによっても、変わってくるのかも。
この作品は、単なるBL(ボーイズラブ)でもなく、または同性愛をメインのテーマにしたものでもなく、男女問わず恋愛関係における、深くて複雑な心理をていねいに描いている。登場人物の間の上下関係が、時々でまるでシーソーのように移り変わる。
人が人を愛するときの喜びと同時に、その愛が報われないことの苦しさ、辛さは、ゲイとストレートという場合はもちろんのこと、男女間の場合にも当てはまる。時代が変わっても、恋愛の難しさは今も同じだね。
何度も映画館に観に行ったという人が多かったみたい。
その気持ち、何だかわかるな。1回目と2回目で違った見方ができそう。
きゅんきゅんポイントは?
こんなふうに重いテーマを扱っているため、映像では、終始、どちらかというと重苦しい雰囲気が続く。
でも、もちろん暗いわ~😢というだけでなく、きゅんきゅんポイントがあらゆるところに散りばめられていて、目を離せない。
最近、「知ってるワイフ(2021年)」で主役を演じている大倉くんを久々にテレビでじっくり見て、いい感じに枯れてきたな~(笑)と感じていたところ。
しかしながら、映画の中の彼は、知ってるワイフの疲れたオットとはまるで別人だ。キネマ旬報の「大倉忠義をダダ漏れにした恋愛映画」というキャッチコピーがまさにそのとおりではないか。
*オリジナルの「知ってるワイフ」韓国版も近くレビュー予定♪ Amazonプライムビデオで見られるよ。
また、大倉忠義以上に、成田凌の演技力がはんぱない!
この映画を観た後では、成田凌意外に、今ケ瀬を演じられる若手俳優はいないだろうと断言できるほど、この難しい役柄を完璧に演じきっていた。
映画の真ん中くらいのシーンで、成田凌演じる今ケ瀬が、大倉忠義演じる恭一から誕生日にある贈り物をもらう。このときの今ケ瀬の演技が、わたしの最高のきゅんきゅんポイントかな。
きっとこの気持ちは、多くの人が今までに体験したことがあると思う。わたしのような年代なら、恋をしていた頃の純粋な心を思い出して胸がジンとするし、まさに今、恋の真っただ中にある人は、思わず涙してしまうほど共感するだろう。
ちなみに、R15指定でもあり、ベッドシーン含むきわどい場面も多いので、観る環境にご注意を~。
ボーナスポイント(笑)として、2人の後ろ姿のフルヌードあり、ということも付け加えておくね。
シニア世代にも十分に見応えある恋愛映画でした。