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予言の書は「ペスト」だけじゃない

アルジェリアの街で、突如発生した原因不明の熱病を描いたカミュの「ペスト」。

1969年に書かれたこの小説が、今またこんなに脚光を浴びるとは--。

確かに「ペスト」は名作だけど、現代の日本を舞台にしたパンデミックのお話の方が、リアルに危機感が迫ってくる。

今回紹介する感染症をテーマにした5作品、勝手ながら個人的な好みでランキング(★)をつけさせていただいた。

パンデミックに興味のなかったみなさまも、今だからぜひ読んでいただきたいな。

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新潮社
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篠田節子「夏の災厄」-現代も繰り返される災厄

★★★★★

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KADOKAWA
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どこにでもあるような町にミクロの災いは舞い降りた。

熱にうなされ痙攣を起こしながら倒れていく人々。後手にまわる行政の対応。

現代生活のもろさを20年も前に予言していた、警鐘を鳴らす書!

篠田節子は、わたしの大好きな作家の一人。今までにもつっこんだ調査と深い人間洞察力で、問題提起をおこなった小説をたくさん発表している。

フィクションとは思えない、いやフィクションだからこそ、ゾクゾクするような不安や恐れを描かせると天下一品だ。

この「夏の災厄」もその1つで、まさにホラーだ。

人口10万弱の都心近郊の街で、謎の日本脳炎が流行して、死者が続出する中で、保健所員やナースが大活躍する。

「女たちのジハード」や「コンタクトゾーン」など、バイタリティあふれる女性たちに焦点をあてて、その生きざまを描き出すのが彼女の作品の魅力でもある。

信じられないけれど、20年も前に書かれているのだが、現在の日本で起こった様々な問題(医療崩壊、発症者差別、抗体検査、倒産、自宅待機(自粛)etc)を指摘している。

後半に向けて少しだらだらとしてくるが、いずれにせよ、今読んでもとても興味深い。さすが篠田さん、パンデミック小説の一押し。

高嶋哲夫「首都感染」-まさに予言の書!

★★★★☆

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二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。

しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現! 

中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。

この本が書かれたのは2010年。まさに今回のコロナ禍を予見したかのように、状況が酷似しているのが驚きだ。

始まりは20××年の中国でのサッカーワールドカップ。東京オリンピック開催時に同じようなことが発生したらと想像すると、さらに恐ろしさが増す。

なんと、高島氏、阪神淡路大震災の前年に「メルトダウン」、東日本大震災の6年前に「TSUNAMI」を発表している。予言者か!

本書はSARSを念頭に置いたと思われるが、わたしたち日本人は感染症の怖さを当時そこまで実感していなかった。この本は、グローバル化が進む世界で起こるパンデミックにすでに警鐘を鳴らしていたのである。

ウィルスに関する理解が深まるように、詳しく、それでいて分かりやすく書かれていながら、親子や夫婦や恋人同士の人間同士の感情の機微もちゃんと描かれていて、小説としての完成度も高い。

遅まきながら、筆者の他の本もぜひ読んでみたい。

 

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大原省吾「計画感染」-フライトパニック!

★★★☆☆

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新型ウイルスが持ち込まれた旅客機で感染者続出!

製薬会社の陰謀、政治家と官僚の保身、命懸けで奮闘する現場の人々…

首都圏を守ろうとすれば地方都市が壊滅する。かといって、726便を飛ばし続けるわけにもいかない。

誰もが口を閉ざしたままの数分が過ぎたころ、染野官房長官がさりげなく雨宮首相を見た。「総理…」

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その視線にぞっとするものを感じながら、雨宮は擦れた声で答えた。「なんだ?」

「我々は八方ふさがりの状態です」
「それはわかっている」
「こうなった以上、我々の取るべき道は一つです」(Amazon co.jpより)

主人公が日本とタイをまたぎバンコクの地を駆けまわり、記憶をなくしたまま命を狙われるといった、スパイ・サスペンスのようなテイストだ。

発症者を乗せたまま、新日本エア(笑)726便が世界中どこからも離着を許されずに、空を飛び続けるという状況は、現在の状況では、いかにも起こり得そうな設定でなかなか面白い。

実際にも、どこからも寄港を許されず、さまよい続けたクルーズ船の例もあるが、飛行機の場合はいつかは燃料切れで、どこかに降り立たなければならない。

さて、726便は、日本を守るために撃墜されるのか?!

この緊迫した状況の中で、製薬会社が暗躍し、医師、CA、学者、ハッカーらが必死の努力で、反撃を試みる。

しかしながら、この「計画感染」というタイトルに隠された意味は、「本当にこんなことがあり得るのか?」とややリアルさに欠ける気も。

話が目まぐるしく展開し、スリルもあって飽きさせないけれど、やや浅いかな?パンデミック・サスペンスを気軽に楽しむにはおススメ。

涌井学「感染列島」-見てから読むか

★★★☆☆

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小学館
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救命救急医・松岡剛のもとに現れた一人の急患。症状は新型インフルエンザに思われたが、何かが違っている――。

折しも東京都いずみ野市の養鶏場では鶏が大量死する鳥インフルエンザが発生。市民がウイルス・パニックに陥る一方、剛の勤める市立病院では院内感染が拡がっていた。

事態の調査と感染拡大を防ぐため、WHOのメディカルオフィサーで剛のかつての恋人である小林栄子が派遣されるが、ワクチン無効の未知なるウイルスの感染爆発〈パンデミック〉は加速し、未曾有の危機が日本中を震撼させる。

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こちらは、映画「感染列島」のノベライズ小説。

映画の方は現在「Amazonプライムビデオ」で見ることができる。ほぼ映画の内容を踏襲している。

映画も小説も、医学的な面というよりも、パニックサスペンスとしてのエンタメ色が強く、なかなかツッコミどころも多く、ウィルスについて知りたいと思う人にとってはちょっと期待外れかもしれない。

ただし、2009年当時、映画も小説も存在を知らなかったけれど、既に現在のような新型ウィルス感染症のパンデミックを予想していたのは興味深い。カンヌやハリウッドでも反響を呼んだそうだ。

そして、妻夫木聡ファンは十分に楽しめる(笑)。

周木律「災厄」-四国がヤバすぎる!

★★☆☆☆

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原因不明の症状により、市町村単位で住民が集団死する事件が発生した。高知県を発端に“災厄”は四国全域に広がり、なおも範囲を拡大していく。

そんな中、政府の対策本部では災厄の原因を巡って厚生労働省と警察庁が対立。

ウイルス感染説を主張する厚労省キャリアの斯波は、真相解明のため自ら四国へと乗り込むが――。(Amazon co.jpより)

著者は、国立大建築学科卒で、建築や数学を盛り込んだ推理小説が有名だ。

今回は、そうした謎解きをまったく含めずに、新たに自然の災厄というスケールの大きなテーマに取り組んでいる。残念ながら、いつもの建築物ほどのワクワク感は少ないかな・・・。

ただ、高知県から始まった感染症の流行が、次第に四国全土へと広がっていく様子は、ゾンビ映画のような面白さがある。奇想天外ななりゆきや、二転三転するジェットコースター的ストーリーが好きな方にはハマるだろう。

期待値が大きかったので、評価はやや辛めに星2つ。

ちなみに、氏の作品としては、映画「Fukushima 50」のノベライズ版もある。

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まとめ

お家にいる時間が増えて、今だからこそパンデミックや感染症に関する本を読んでみたいという人も増えていそうだ。

おかんおかん

今回は、わたしの好きな篠田節子さんの「夏の災厄」をおススメ1位にあげさせてもらったよ。

今後も追加していくかも~。

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