現代日本の女子/男子たちの応援歌ですね
わたし自身はアラフィフのフリーランスでダンナと二人暮らし+ワンコ一匹。
企業内で働く女性や子育ての大変さは、正直なところあんまり意識していないかも。
だから、とても興味深くて、そして、たくさん思うところがあったな。
女系家族で、学校でも女子に囲まれ、最初の仕事先も女性が多かった。自分が女性であるからもちろんのこと、いろいろな女性の生き方に興味がある。
吉高由里子と向井理を主人公を演じたTVドラマ「わたし定時で帰ります」が面白くて、そこから彼女の作品にはまったクチ。
ちなみに朱野さんの略歴を紹介すると--
1979年東京都生まれ。早稲田大学文学部第一文学部卒。
大学卒業後、入社したマーケティングプランニングの会社では、徹夜も含めた残業づくめだったという。7年勤務した後、定時退社が基本で、1年で1週間連続のリフレッシュ休暇が義務化された製粉会社に転職した。この社会人経験から「わたし、定時で帰ります」が生まれたという。
「わたし定時で帰ります」-働き方改革の闇
上でも言ったように、こちらは「見てから読む」ことに。
TVでは吉高由里子と向井理と関ジャニの中丸雄一との恋愛ドラマに結構な焦点が当てられていた。
これは地上波テレビだから仕方がないね。いずれにせよ、向井君のビジュアルは目の保養でありw、役柄にぴったり合ったはまり役だった。
しかし、吉高由里子は何を演じさせてもうまい。「ハイボールうぇぇい~」のシーンはなかったけど「生ビールうぇぇい~」の姿がなんとも可愛い。
絶対に定時で帰ると心に決めている会社員の東山結衣。非難されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。
仕事中毒の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人…。様々な社員と格闘しながら自分を貫く彼女だが、無茶な仕事を振って部下を潰すと噂のブラック上司が現れて!?働き方に悩むすべての会社員必読必涙の、全く新しいお仕事小説!
定時の女王は体育会系ブラック企業に勝てるのか!? 大注目のお仕事小説第二弾。絶対に残業しない主義の結衣だったが、なんと管理職になってしまう。
新人教育を任されたものの、個性的過ぎる若者たちに翻弄される結衣。そんな折、差別的なCMで炎上中の企業のコンペに参加することに。パワハラ、セクハラのはびこる前時代的で超絶ブラックな社風に、結衣は絶句するが……。
さて、小説の方は、TVドラマよりも内容的にはずっとシリアス。
「働き方改革」が叫ばれる昨今、最初の単行本発売のときから、書店をはじめ各種メディアでも注目を浴びた本書。
「24時間働けますか♪」というCMが耳になじんでいた私たちの世代。残業必至で、訳も分からずともかくばく進してたけど、なぜだか浮かれた雰囲気も蔓延していた気がする。
舞台は中小のホワイト企業に見せようとするブラックIT企業。
ワーク・ライフ・バランスをとろうという時代に向かっているはずなのに、主人公の結衣は、「わたし、定時で帰ります!」と主張し、闘い続けないかぎり、自分を支えていられない。徹夜や残業、持ち帰り残業をこなさないと認められない職場で、次第にみんなが社畜文化に飲みこまれていく。
体育会系を絵にかいたようなクライアントが登場し、接待、セクハラがまかりとおる。
長時間働き続けて、人間関係で疲れ果てて、身心を病みそうになったとき、「人生の目的は何なのか」、「働く意味は何なのか」、今いちど自分に問いかける必要がある。それを問いかけている作品だ。
まさにハードワーカーからアーリーリタイアを実現した夫。「人生の目的」へと向かっているのかな。
「対岸の家事」-終わりのない労働
「わたし定時で帰ります」とは視点を変えて、今度はママ/パパたちが主役。
どうしてこんなに大変なんだろう?家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。
幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める―(BOOKデータベースより)。
<主要登場人物>
★村上詩穂-27歳、専業主婦。居酒屋に勤める夫と苺ちゃんの三人家族。ママ友が見つからず、いつも苺と二人きり
★中谷達也-30歳。外資系企業を2年間育休中。1歳の娘を持ち家事と育児をスマートにこなすイケダン。
★蔦村晶子-27歳、元保育士。開業医師の夫と結婚し受付を担当。姑らの孫
★坂上さん-70歳、専業主婦。夫と死に別れて一人暮らし。40歳の娘あり。
★長野礼子-35歳。ワーキングマザー。夫が忙しくほぼワンオペ生活。
第一話「専業主婦が絶滅危惧種になった日」というキャッチーなタイトルから始まる。
会社員なら「わたし、定時で帰ります」ということも言えるけど、主婦は別。終わりのない「仕事」と戦い続けなければならない。
この小説を読むと、今の日本では「子供なんてとても育てられない!」と少子化を後押しすることになってしまうかも。
しかし、孤独や絶望の中で踏ん張っている人たちが、自分たちの立ち位置で次第に助け合いながら、救いを見出していく。
提起された問題が完全に解決されていくようなハッピーエンドではないけれど、筆者は、手を抜くことと休むことの大切さを優しい目線で語りかけている。
ワーママ、専業主婦、育休中、シングルで働く人たち--
そして女性だけでなく男性にも広く読んでもらいたいな。