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大阪松竹座ってこんなとこ
「松竹座」は、日本初の鉄骨・鉄筋コンクリートの映画館として大正12年(1923年)に誕生したネオルネッサンス様式の劇場。モデルはイタリア・ミラノのスカラ座。
第二次世界大戦以後は、洋画の映画館に転換し、1997年に最新設備を備えた劇場として再開。
松竹座って昔は映画館だったんだ~。
ご存知のように、現在の松竹座は、歌舞伎だけでなく、演劇やミュージカル、コンサート、そして、大阪人の愛する松竹新喜劇が上演されている。
松竹座のある道頓堀辺りは外国人の密度がけっこう高い。
大阪が誇るソウルフードの「かに道楽」や「たこ焼き」も味わってほしいけど、「歌舞伎(KABUKI)」で日本の美も堪能してほしいな。
松竹座の館内
1階:エントランス
外観のネオルネッサンスを意識して、壁と床を大理石で洋風に仕上げている。迎えてくれるのは、フランス人画家ベルナール・ビュッフェ作の『暫』。
2階:メインロビー
2階は和風で左右の壁には中島千波画伯の四季をテーマにした12枚の日本画が飾られている。
- 1月「朝陽富士」
- 2月「枝垂淡紅梅」
- 3月「桃花図」
- 4月「春日」
- 5月「鯉」
- 6月「花菖蒲」
- 7月「額紫陽花」
- 8月「夕顔」
- 9月「芙蓉花」
- 10月「秋季」
- 11月「小菊」
- 12月「寒牡丹」
歌舞伎の公演の中では、襲名公演が好き。
「襲名」とは、代々受け継がれる芸名(「名跡」)を引き継ぐこと。
この「襲名公演」の披露興行は、後援会、御贔屓筋、劇場関係者、マスコミ、等へのお土産や心付け、そしてご祝儀、莫大なお金が行き交うビックビジネスなのだ。
その華やぎが館内からも伝わってくるし、舞台の上での「口上」も好き。
「口上」とは、俳優または頭取が観客に対して,舞台から述べる挨拶のこと。
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市川新之助から市川海老蔵を襲名したときはものすごい騒ぎだった。
3階:劇場1階席
さて、お待ちかねの劇場席。一番に目を惹くのがこの緞帳(どんちょう)。
松竹座の緞帳の題名は「有職麗華(ゆうそくれいか)」。
「有職文様」とは、平安時代以降、公家の装束や調度などに使われてきた伝統的文様のことで、唐の文化として奈良時代に移入された。
大陸の香りを残しつつ、「柿色」、「萌葱」、「山吹」といった日本古来の色彩を取り入れており、その華やかさに圧倒される。
座席の見え方
松竹座座席表
気になる座席位置。松竹座は全部で1033席。内訳は以下のとおり。
- 1階:553席
- 2階:282席
- 3階:198席
前の緞帳の写真は、8列17,18番から撮影したもの(座席表で赤で示した部分)。
松竹座は狭いので、後方席でも十分に楽しめるが、8列目だとオペラグラスは不要。役者の顔も本当にすぐ側にいるようにくっきりと見える。
花道が最良席
でも、劇場の肝はやはり花道(ピンクの波線で示した部分)。
松竹座は、本花道の他に仮花道も設置されており、オーケストラ使用時はピットもできる。天井埋め込み式宙乗りレールは2基。
廻り舞台の中は、素早く転換する大小7基のセリが内蔵され、2分割のスッポンも設置。
コチラの記事もご参考に。
- セリ
舞台の一部が上下する仕組みのこと。廻り舞台には「大セリ」や「小セリ」があって、建物全体が上下したり、演者が出入りしたりして、迫力ある楽しい舞台を演出する。
- 花道と仮花道
舞台の下手にある通路が花道。舞台と同じ高さで客席を通って、舞台と花道のつき当たりにある鳥屋(とや)を結ぶ。演目によっては、花道と平行して上手にも仮花道が設置される。
- スッポン
花道の舞台寄りにある小型のセリのこと。
妖術使いや妖怪や幽霊などが登場したり退場したりする場所で、歌舞伎ではよく現れる「人間以外の」空想の生き物が、スッポンのセリから登場する。煙などが焚かれることもあり、怪しさがさらに倍増する。
松竹座では、ジャニーズの公演もよく行われる。歌舞伎だけでなく、ジャニーズもこんなに間近に見られるのはファンにとってとても嬉しいことだ。花道辺りに座席が確保できれば、握手してくれる可能性がある。