以前に「フリーランス翻訳者って意外とオイシイんじゃない?」で、商売には立地が大事と書いた。はたしてフリーランス翻訳者に立地は大事だろうか。
地方出身者の典型で、都会暮らしにずっと憧れてた。
定年になったら田舎暮らしという男性に、ありえないわ~、奥さん大迷惑だわと思ってたけど、最近自分の気持ちもちょっと変わってきたみたい。
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田舎暮らしのすばらしさ
夫の故郷は山の近く。
野菜は周りがみな作っていて、大きなイチジクの木が植わっている。大好きな干し柿が家の前に干してあり、売り物にならないブドウが箱一杯に嘘みたいな値段で買える、
*フィテンチットは、どこでも吸い放題。
フィテンチット:植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。
森林浴はこれに接して健康を維持する方法だが、健康だけでなく癒しや安らぎを与える効果もある。
フィトンチッドはその殺菌性や森林の香りの成分であるということから良いイメージがあり、森林浴の効能を紹介する際に良く用いられている。
ワンコは自由に山を駆け巡る。柴犬と雑種だらけ。
豚汁と甘酒をふるまってくれる大晦日の神社の年越しが楽しい。昔話に出てくるような里山の情緒が今でも味わえる。
わたしの故郷は海のそば。
朝起きたら、たちまち潮の匂いが漂ってくる。
自転車はすぐに錆びてしまうけど、かすかな波の音は、*F分の1ゆらぎ。
パワーが周波数fに反比例する揺らぎのこと。ただしfは0よりおおきい、有限な範囲をとるものとする。
ピンクノイズとも呼ばれ、自然現象においてしばしば見ることができる。
具体例として人の心拍の間隔や、ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、小川のせせらぐ音、目の動き方、木漏れ日、物性的には金属の抵抗、ネットワーク情報流、蛍の光り方などが例として挙げられる。
プライベートビーチのような海岸でワンコを自由に走らせる。
日がな一日、釣り糸を垂れる人々が集う。釣ったばかりの魚をさばき、蛸壺に入ってきた蛸をブツ切りにする。都会で食べる冷凍臭い魚とは段違いだ。
アラフィフになって、山でも、海でも、自然と共に生きることが、生き物である人間にとって自然なことと感じるようになってきた。
お金では買えない、それ以上に価値のあるものが得られる。仮に都会でそれを手に入れようとすれば、きっと何倍、何十倍の対価を求められる。
都会に住みたいわけもある
だが、今のまま、都会で消耗しつつも暮らし続けたいわけがある。
趣味や遊びを楽しみたい
わたしの趣味の1つは観劇。宝塚劇場までは車で30分内、梅田の劇場も30分内、歌舞伎も南座も松竹座も1時間内で出かけられる。チケットさえ入手できれば、思いついたその日に鑑賞することができる。東京や大阪などの大都市しか開催されないコンサートや舞台、美術展なども結構多い。その他にも小さなライブがたくさん開かれている。地方だと、そうした活動が1日仕事になってしまい、時間的にも経済的にも難しい。
お酒を飲みに行くことも好きだ。友達や近所の人と集まってワイワイ家飲みではなく、ひとりでふらっと一杯傾けたいというときもぴったりのお店がたくさんある。飲む場所でなくても、日本の都市ほど、多種多様な食文化が楽しめる街は少ないだろう。お気に入りのお店を何軒か決め、気分次第で回ることも人生の楽しみの1つだ。
また、習いたい趣味も、いい先生は都市圏に集まっている。ニッチな趣味ならなおさらだろう。スポーツジムも何軒も周りにあるので、飽きずに試すことができる。
この目で見たい
上と少しかぶるが、雑誌やテレビで見た商品が実際にその目で見られるメリットはかなり大きい。ネット通販は大流行だが、コスメや洋服等は、実際に見て、試してみないと購入までには至りにくい。
新作の発表会や百貨店のイベントなども都市ならでは。仕事に必要なパソコンや各種機器、ツールなども見比べで購入したいと思う。なるべくなら避けたいが、PC等の機器や仕事道具が急に故障することも考えられるため、大型専門店や量販店にすぐに行けるアクセスの良さは、仕事上の安心感につながる。
健康を維持したい
教育環境を除けば(今はリモートでの学習環境も進んでいるが)、若いときの田舎暮らしは、固定費の削減などのメリットが多い。自然の中で行う子育ては楽しいだろう。
しかし、人生後半戦に入った人々にとって最大の関心事は健康だ。大病の場合の設備が整った大病院や、持病がある場合のかかりつけ医など、医療面での環境はやはり都会の方が圧倒的に整っている。都市では病院および医院数が多く、最近ではネット予約などのシステムが進んで、予約しやすく待ち時間も比較的少ない。過疎地での医師不足の話もよく聞く。地方都市だとそこまではないだろうが、医師も比較したい。
田舎の方が都会よりも健康を維持できるというのは本当だろうか。都市圏では車に乗ることが少ないので、脚力が弱りにくいとも言える。逆に、田舎では車を運転できなければ、交通網が発達していないので、行動範囲はぐっと狭まる。
結論は多拠点生活?
最初に紹介したように田舎の良さも捨てがたい。一部のブロガーを始め、政府もUターンや地方移住を強く勧めている。
その一方で、都会人でも、少々脚を延ばせば自然に触れることはできるし、旅行をしてもよい。今までの仕事や娯楽を捨てるまでのモチベーションとしては弱い。翻訳者のような自由業でない限り、仕事も限られるであろう。
「週末別居」、「多拠点生活」、「デュアルライフ」、「アドレスホッパー」など様々な言い方がされているが、そういう生き方もあるかなと考え始めている。
(追記:このような記事を過去に書いたが、それ以後、紆余曲折を経て、今は大阪と石垣島の二拠点生活を実行中。これからも他の移住スタイルを構想している)。