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世帯年収1000万円超えは幸せか?
幸せの損益分岐点はどこ?
年収と幸福度に関して、よく引き合いに出されるのが「人々の幸福感と所得について(平成26年2月14日)」の内閣府の調査。

この結果をまとめてみると、
- 200万円未満 → 200~400万円未満 → 400~600万円未満では、ぐぐっと矢印が右上がりになって上がっていく
- 600~1000万円未満ではほぼ横ばい。
- 1000万円を超えると、またぐぐっと幸福度は上がるが、1000万円以上はなだらかに下降傾向。
同じ頃、アメリカでも、2010年ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル=カーネマンと、経済学者のアンガス・ディートンが、「High income improves evaluation of life but not emotional well-being(収入が上がれば、自己評価は高まるが、幸福度が上がるわけではない)という論文を発表し、話題になった。
論文の中でよく採り上げられる文が、
Emotional well-being also rises with log income, but there is no further progress beyond an annual income of ~$75,000.
幸福度は総収入と共に上昇するが、年収75000ドル(2016年10月現在約760万円)を超えたあたりから上昇しなくなる。
というくだり。論文は英文だが、なかなか面白いので興味のある人は読んでみてほしい。日本でもアメリカでも、ある一定額を超えると、年収と幸福度が比例しなくなるというのが興味深い。
最近ある雑誌で
「世帯収入1500万円超の夫婦よりも、世帯収入400万未満の子沢山一家の方が幸福度が高い」
という趣旨の特集記事を読んだ。
何だか乱暴な分類だが、納得できる部分も多い。「子沢山で経済的に大変!でも、もっと産みたい!」という人は多い気がする。実姉もそうだ。
稼いではみたが・・・
我が家はDINKSだから、年収200万暮らしを除き、グラフにある年収ゾーンを全部体験した。
確かに所得が増えるにつれて、幸福度が上がっていったかと言えばそうでもない。私はさておき、ハードワーカーのサラリーマンだった夫は、QOL(人生の質)はむしろ下がっていったかも。
もちろんお金がない不幸はきっと悲惨なものだろう。お金があったら解決できるのにないせいで、夫婦や家族や姉妹兄弟の関係がギスギスして、ついには亀裂を生んでしまうこともある。セレブな生活とはいかなくても、安全な食品を選んで、良質な製品を買い、好きな趣味にひたる、そんな生活は基本的にお金がかかる。
でも、借金に追われ、雨をしのぐ家や、食べるものにすら不自由するという貧しい人は例外として、貧乏=不幸という単純な図式は当てはまらない。
逆に、稼ぐがゆえに、生まれてくる不幸も同程度ある。お金と引き換えに、心身を壊してしまう、お金目当てに悪い人間が寄ってくる、家庭内のすれ違いが起きる、遺産争いに巻きこまれる、などなど。
先日、「みのもんた初お宅訪問」という番組を見た。みのさんの奥様、御法川靖子さんは2012年5月22日、享年66歳でがんのため死去。「おもいっきりテレビ」や「みのもんたの朝ズバッ!」などの帯番組のMCだったみの氏は、奥さんがガンで入院してから亡くなる1年間、
「結婚して何十年が経つが、毎日一緒に過ごすことができたのはこの1年間だけだった」
と、涙を浮かべながら、独り住む3000坪の豪邸で語った。
もちろんテレビ番組だから演出もある。もし時間が巻き戻ったとしても、やっぱりみのさんは同じように華やかな表舞台に立ち続ける道を選んだだろう。でも、あんな大金持ちであっても、家族とのゆっくりとした生活よりも、もっと儲けたい、人から忘れ去られたくない、という欲望には際限がないのかな。
幸せなお金の使い方
「金銭で簡単に手に入る幸せは、同じくらい簡単に手の中から逃げてしまう」。
たとえば、欲しかったバッグを手に入れる。とっても嬉しいし、外に持参して見せびらかしたくもなる。いくらお気に入りのバッグになったとしても、その幸福度はそのままの状態で長くは続かない。手にしたときが満足度の頂点になる。
人生の幸福度をあげるってどんなことかな?と最近よく思う。稼ぎ方や貯め方はいろんな人や本が紹介しているが、幸せな使い方はあまり教えてくれない。
でも、こんな使い方が幸せを呼ぶのかも。
「モノ」ではなく「体験」を買う
多くの女性と同様、私も洋服や靴や買うのが大好き。アクセサリーや雑貨や綺麗な物を買うのも大好き。
ただ、モノは心を潤してくれるけど、夫や友達や家族と行った場所や旅行の思い出は、古くなったからと捨ててしまう必要がないし、奪われる危険もない。
モノを所有したがらなくなってきた現代の若者たちは、もうこれを実践している。
「人(社会)」のために投資する
子供や孫に使うお金は惜しくない、自分の物を買うくらいだったら子供に買ってあげたい、子供に良い暮らしをさせてあげたい、と思うお母さんは多い。
喜ぶ顔を見ることは何よりも幸福度をアップさせる。他人が喜んでくれた、社会に貢献できた、と思うこと。
つまり、絆(つながり)を実感することが、われわれ世代にとって大きな生きがいになるのかな。