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「ゆれる」とともに見逃せない良作

おかんおかん

シブがき隊をリアルで見ていたわたしだけど・・・

3人の中でも特にイケメンだったもっくんがアイドルを脱皮して、こんなふうに俳優として大成するとは予測しなかったわ。

今回は、「ゆれる」(2006年)が実に衝撃だった西川美和監督の最新作(*未見の方は「ゆれる」もぜひ!)の「永い言い訳」を紹介。

西川監督の映画の特長として、作品のエンドロールが流れるにいたっても、物語の結末は判然としない。登場人物はこの後、どう生きていくのか、真実はどうであったのか、観ているわたしたちに解釈をゆだねるところが大きい。その点では、ちょっとフランス映画チックな気がする。

中でも「永い言い訳」は特に好きな作品で、数度見返したほどだ。子供のいない夫婦二人きりという設定に惹かれたせいもある。

ゆれる
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「ゆれる」は、若き日のオダギリジョーのダダ洩れな色気がすごい。

永い言い訳
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人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、妻(深津絵里)が旅先で不慮の事故にあい、親友と共に亡くなったと知らせを受ける。

その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。

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そんなある日、妻の親友の遺族ートラック運転手の夫・洋一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思い付きから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験をあきらめようとしていた兄の真平。

子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、むなしかった毎日が輝きだすのだが...。

原作も同じく西川美和。原作も面白いが、映画から感じるイメージとは読後感が少々異なる。この辺は好き好きかな。

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主人公の名は衣笠幸夫。実は西川美和監督の出身が広島で、大のカープファンであることからこの名を選んだという。衣笠元選手にも連絡し快諾を得ている(笑)。

キャスティングが実にいい。単純にまっすぐに妻と子供を愛するトラック運転手を竹原ピストル、知的で夫を支えるできた妻を深津絵里が演じる。映画を見る前は、幸夫君が本木雅弘はどうかな~と思ったが、自己愛が強いが、自己肯定感の低い作家を見事に演じきっている。

夫を包み込むようなにっこりと優しい妻の笑顔。多くの場合、それは心から生まれた笑顔ではなく、感情が抜け落ちた末の仮面のような作り笑顔だったりする。怒りや悲しみを超えた後の無関心。深津絵里は映画の冒頭で姿を消し、そこからは写真でしか登場しない。そのために、彼女の美しい笑顔が心に残る。

対照的な二人の男を中心に、女の子と男の子の二人の子供のエピソードと共に、幸せとは何なのかが繰り返し問いかけられる。

映画の設定では、妻は事故死するのだが、これは多分、大切な人が離れるのはほんの一瞬で、そして二度と戻ってこないというメタファー。

「永い言い訳」というタイトルを、わたしたちはどう解釈すればよいだろう。