映画版「何者」のキャストが超豪華!
小説の映画化。日頃は読んでから見る派だけど、こちらは映画が先。
終活の方が近いw私には就活はもう遠い世界かと思ったのに、意外にも映画の世界にハマった。
朝井リョウが直木賞を受賞し、大きな話題を呼んだ原作の映画化作品。ひとつの部屋に集まった5人の男女。大学の演劇サークルに全力投球していた拓人(佐藤健)。
拓人がずっと前から片想いをしている瑞月(有村架純)。瑞月の元カレで、拓人とルームシェアをしている光太郎(菅田 将暉)。拓人たちの部屋の上に住んでいる、瑞月の友達の理香(二階堂ふみ)。就活はしないと宣言する、理香と同棲中の隆良(岡田将生)。
理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる5人。それぞれが抱く思いが複雑に交錯し、徐々に人間関係が変化していく。
「私、内定もらった…。」やがて「裏切り者」が現れたとき、これまで抑えられていた妬み、本音が露になっていく。人として誰が一番価値があるのか? そして自分はいったい「何者」なのか?(C)2016映画「何者」製作委員会
このようにキャストは今を時めく若手を集めている。それだけでも見てみたくなるだろう。
ところが、就活をテーマに、紆余曲折を重ねながら、人間的に成長していくなどの青春群像劇と思いきや、「就活あるあるすぎて凹む」、「裏アカ怖い」などのネガティブな感想が大半を占める、なかなかシビアで重い内容だった。ラストに至っても明るい未来が具体的には示されず、簡単にカタルシスは得られない。
ただし、この映画は単に、「何者」にもなりきれないアイデンティティクライシスに陥る若者たちの、出口のない苦しさを描いたものとは言い切れない。私のようなアラフィフ女性にも通じる何かがあるのは確か。精一杯背伸びして自分を大きく見せようとしても、素の自分は決して隠し通すことができない。そして、それをさらにさらけ出してしまうSNSの怖さ。
元仮面ライダーの、私にとってはややチャラいイメージのイケメンの佐藤健くんが、「批評家」と称される人を斜めから見るタイプの屈折した青年を見事に演じていて見ごたえがある。バンド活動もしながらイキイキと就活の中を泳いでいく光太郎のイメージは、菅田将暉にぴったりだ(その後、やっぱり歌手としも人気が出た)。
最初の10分で、いろいろな意味でもうダメだと、見るのをやめる人がいる一方、最後まで見入ってしまう人がいるタイプの映画化も。私は後者。
朝井リョウ著、直木賞受賞作「何者」
想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。
就活対策のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月、理香らと集まるようになるが――。衝撃のラストが襲いかかる戦後最年少の直木賞受賞作。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。
瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。(Amazon co,jpより)
映画「何者」が面白く、原作も読んでみたくなった。
朝井リョウはこの小説で直木賞をとってたんだね。
このように、原作も読んでみたのだが、映画以上に面白かったので、映画を気に入った方は小説もおススメ。
ストーリーの伏線(いや主線か?)がSNSの形で組み込まれていくのだけれど、映画だと流れていって読み過ごすことがある。小説を読むと、伏線がラストに向けて見事に回収されていくことが分かる。もちろん、推理小説のように分かりやすい伏線の形ではないのだが、「あの時、実はこうだったのか」(説明が分かりにくくて失礼)と前に戻って読み返してみたくなるシーン多々。
特に、ラスト間近で一気に流れる一連のツイッター(インスタグラム)は文章で読みたいところ。その一方で、映画のように映像化されるとまた違うインパクトが生じる。
ただし、負のイメージだけでなく、小説のラストは、救いのある何とはない暖かさも感じられる。「頑張れ!」と声をかけてあげたくなるラスト。
「何者」のスピンオフストーリーを描いた「何様」についてもまたレビューしたい。