図面、ちゃんと読めてますか?
特許翻訳者や産業翻訳者の仕事につきものなのが図面。英文/日本文が意味不明、部品の関係が不明確、方向や位置がはっきりしない、等々の理由で翻訳に行き詰まってしまうことがある。
それ、自分の理解不足やん。
言わんでも常識やん。
(今回はお勧め本の筆者のキャラも考慮し、わたしもいつもの関西弁で)
実際のところ、図面が添付されているから分かることは本当に多い。そんな私が今回オススメする本(シリーズ)はこちら。
投影図を読み解くとは類推することやねん
仕事で出くわす図面は、3DCADとかでない限り、普通は機械や製品などを二次元の平面図で表したもの。
3Dの立体図が簡単に添付されるようになれば、ビジュアルイメージがつかみやすくなるのだろうが、今のところはそうはいかないので、平面の投影図から立体イメージを想像しなければならない。
投影図(とうえいず)とは、3次元立体物を2次元平面図に写したものを言う。「投象図」や「投射図」ともいう。
逆に、この「平面 → 立体」変換が頭の中でできるようになれば、翻訳はぐっと楽になる。
- 投影図の表し方
- 最も対象物の情報を与える投影図が正面図である。
- 他の投影図(断面図を含む)が必要な場合には、曖昧さがないように必要かつ十分な投影図や断面図の数で表す。
- 可能な限り、隠れた外形線やエッジを表現する必要のない投影図を選ぶ。
- 不必要な細部の繰り返しを避ける。
この本では、複数の図面から、だんだんと立体形状へと変換する方法を、初心者にも分かるように、基礎の基礎からやさしく手ほどきしてくれる。
線(せん)とは
線とは、細く長い糸のような筋のこと。製図で使う線は、4種類の線に対して、太線(ふとせん)と細線(ほそせん)を組み合わせた計8種類の線を使い分ける。
- 実線(じっせん)→太い実線と細い実線
- 破線(はせん)→太い破線と細い破線
- 一点鎖線(いってんさせん)→太い一点鎖線と細い一点鎖線
- 二点鎖線(にてんさせん)→太い二点鎖線と細い二点鎖
破線と点線はちゃうよ!
複数の線が同じ場所で重なった場合は、優先度が決まっていて、下の順番に従って線が描かれる。ああ、そうだったんや。
- 外形線(太い実線)
- かくれ線(太い破線)
- 切断線(細い一点鎖線+太い実線)
- 中心線(細い一点鎖線)
- 重心線(細い二点鎖線)
- 寸法補助線(細い実線)
第1章-正確に図形を伝える言葉を、知らなあかんねん!
いまさら聞けんわ、角度ってどこを測るん?
第4章-投影図を読み解く、ワザがあるねん!
「断面図」、「矢示法」、「相貫線」を使った図が読めんの?
第9章-専門用語を知らな、読めへん図面があるねん!
板金部品の「バリ」、「カエリ」、「ダレ」って何のことやの。
などの章は本当に参考になった。
筆者が時々潜り込ませる「メモメモ」の欄は私もメモする。エンジニアの使う耳慣れない製図用語もメモっておくと、余計なところで慌てずにすむ。
図面ってどない描くねん!
翻訳者が図面を描くことはあまりないと思うが、知識として知っておくと、図面を読み解く助けになる。
「描くねん・・・」はこの0からずっとシリーズ化されているので興味がある人は揃えておくと損はない。
翻訳者に限らず、技術者の確認や、新人教育のためにも十分に役立つ著書ではなかろうか。
高校時代、図形嫌いやったし、方向音痴やし、空間認識力弱いと思うわ。でも、避けては通られへんから、ちゃんと勉強せなあかんな。