スポンサーリンク

翻訳者の文章術とは

おかんおかん

本を読むのも好き、語学も好き、と言えば「翻訳」は思いつきがちな仕事。

技術が好きなリケジョも多いけど、

いずれにせよ「文章を書く」ことからは逃れられないよね。

自画自賛みたいに聞こえるかもしれないけど、翻訳者って、どの業界に入ってもそこそこ「使える」人材じゃないかという気がしてる。

基本的に語学は得意なはず。仕事内容の大半がリサーチだから、調査能力はもちろん高い。ツールや様々な文書スタイルをこなす必要があるから、ワード、エクセル、パワーポイントはもちろん、CATツールやMT(機械翻訳)の進化がすさまじい今、ツールやソフトウェアにも比較的柔軟に対応できる。様々な分野にあたることが多いから、知識や情報の幅も広い。

翻訳男子はあまりたくさん知らないが、翻訳女子たちはコミュ力も結構高い。好奇心旺盛なのは必須要件で、情報収集力も高いから流行を知るのも早い。

翻訳の仕事は楽しいし、就業スタイルも女性に合っている。やり方次第では十分に稼げるからお勧めの商売ではあるのだが、

「勿体ないよなぁ、一翻訳者としてしまっておくの、その才気」

と思う人たちとたくさん出会ってきた。そして今も出会っている。

メンタリストDAIGOの文章術

DaiGoさんについては、TVでちらっと見た程度で、メンタリストという肩書きから、何となく怪しげ(笑)な印象を抱いていた。この「人を操る禁断の文章術」という本も、タイトルが何だかなと思いつつ、レビューの高さに興味を持って読んでみた。

ところが、想像よりもずっと面白い内容だった。数時間あればサクサク読んでしまえると思うが、今更ながらに気づくことが結構あった。

created by Rinker
¥1,540 (2024/04/16 06:58:28時点 Amazon調べ-詳細)

メンタリストDaiGoの、人を上手に誘導するパフォーマンスを支えているのは、人間の心理的特性についての膨大な知識量と実践の量である。

本企画では、メンタリズムの得意とする「人心掌握」「大衆煽動」のエッセンスを文章に応用し、読み手の心を自在に操る「メンタリズム文章術」を大公開。

その文章術の軸となるのは、「読み手の見たい現実を見せてあげる」という、相手の心理を先回りした「想像力を刺激する」書き方のテクニックである。

本書では、解説するテクニックに対して心理学の見地から裏付けの説明を随所に加える。扱うテーマは、セールス、プレゼン、恋愛、依頼など、書き手の腕が求められるシーンを幅広く網羅。

 

出版不況と言われ、手紙を書く人も随分減っただろう。だが、手紙が減った分、メールはそれを補ってあまりあるほど増えている。

本や新聞を読まなくても、パソコンやスマホで文章を読む人は増え続けている。文章というコミュニケーション手段は決してすたれはしないばかりか、重要度は増しているのかもしれない。

文章とは、

読まれるために書くものではない。

行動させるために書くものだ。

とDaiGoは言う。確かに、この本の中で、彼は美文を書く手法や、メールや手紙や各種文書の作法を教えているのではない。きれいな文章だなぁ、整った文章だなぁ、と人を感心させる文章は、作家でもない限り、私たちの生活にはあまり関わってこない。日常の多くの文章は、上記の通り、人を行動させるために存在するものだ。

「書くこと」から逃れられない我々翻訳者は、その強みを活かせる時代にいるのかもしれない。

「Translate」って何だろう

最近、翻訳者ではない、ある人物から刺激を受けることがちょくちょくある。

その方が、「Translationとはもっと広義なものではないか。男女間の価値観の違いも含め、個々のフィルターを通して様々に変化していくもの」(かなりアバウトにしか覚えていない。ニュアンス違ってるのかも)のような趣旨のことを話していて、深く同意した。

TRANSLATEと聞くと、「翻訳する」という意味を一番に思いつく。翻訳とは、「解釈する」こと、他の言葉に言い換えてあげることだ。

それは、単に英語やフランス語やドイツ語などを日本語に、あるいはその逆に書き換えてあげることだけではない。いやもちろん、それはそうなのだが、言葉づらだけではなく、相手の心や、態度や、行動を察して、解釈することを含む。

 

あなたはこういうつもりで言ったんじゃないの?

あなたはこれが欲しいんじゃないの?

あなたはこうしてもらいたいんじゃないの?

あなたはこうしたいんじゃないの?

そして、その解釈を元に、ある方向へと「仕向けてあげる」こと。

技術分野ではtranslateは「(物体などを)並進させる」「(図形などを)平行移動させる」という意味で使うことが多い。

これは人を自分の思ったように操縦して、自分の便利に利用しようというものではない。逆に、自分の思いを伝えると同時に、相手の本当の気持ちや、希望、思いも叶えてあげて、互いの間をもっと身近なものにし、つながりを強化する。文章はその手段の一つだ。

だから、書く力は、モノを買ってもらうにも、お店にお客を呼び込むにも、どんな仕事の場でも役立つ。それとともに、友達や、パートナーや、家族や、同僚や、上司と円滑な関係を保つにも、新しい彼氏や夫を見つけるにも役立つ。翻訳女子の持つ才能は、もっと横展開が可能なのである。

ちなみに、先日、一億円ホストなる男性のドキュメンタリーを見ていて、なぜ女の子が彼に、何万円、何十万円のボトルを開けてあげるのか、同じことを感じた。

AKB商法のように、彼をナンバーワンに盛り立てたいという女性の欲求もあるにはあるが、女の子が、今、何を言って欲しいのか、今、ここで財布を開くために何を言ってあげればいいのか、が一流ホストには分かるのだ。

仕事を通じて「書く力」を更にブラッシュあっぷさせていきたい。

スポンサーリンク