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清張作品の主人公の女たちが怖すぎる!

 

 

松本清張氏、1909年生まれ。松本清張生誕百周年記念で盛大に清張ブームが巻き起こったのもつい最近の気がする。既に古典の域に達しているはずなのに、今読んでも面白さは古びていないのがさすが。

もしかして清張氏の作品は「砂の器」「霧の旗」などの社会的作品が主流と思っている人もいるかもしれない。

もちろん、それらの作品も素晴らしいけど、わたしが好きなのは清張氏が描く「女たち」。悪い女、かっこいい女、美しい女。浅はかだったり、ずる賢かったり、執念深かったり。イロイロな女性が、あるときは男に騙されて、あるときは男に手玉にとられて、自分でも想像のつかなかった人生を歩んでいく。どちらかと言えば、男は刺身のつまみたいなもの。

夜の世界も、社会の暗部も知り抜いているだろう清張氏だから書ける女たち。

今回は、その中でドラマ化/映画化されたオススメ作品を紹介したい。清張作品を演じられたら、女優も一流と言われている。清張ドラマで一皮むけた女優や、ブレイクを果たした女優や、その地位を不動にした女優たちの演技に注目してもらいたい。言うまでもなく原作本も面白いので、本とドラマ/映画の違いをチェックするのも楽しみ方の一つ。

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黒革の手帳

7500万円の横領金を資本に、銀座のママに転身したベテラン女子行員、原口元子。店のホステス波子のパトロンである産婦人科病院長楢林に目をつけた元子は、元愛人の婦長を抱きこんで隠し預金を調べあげ、5000万円を出させるのに成功する。次に彼女は、医大専門予備校の理事長橋田を利用するため、その誘いに応じるが……。夜の紳士たちを獲物に、彼女の欲望はさらにひろがってゆく。
(出典:amazon内容紹介)

清張ドラマの女性で一番有名なのは、この原口元子ではないだろうか。だましの手口としては、こんなことで横領できるか!と平成の現在では全くリアルではない。そんなことよりも、一銀行員だった地味な女性が、銀座のママへとのしあがるさまが、成り上がりドラマとして世の女性の共感を呼ぶ。今までに元子を演じた女優はそうそうたるメンバーだ。

1982年版:山本陽子
1984年版:大谷直子
1996年版:浅野ゆう子
2004年版:米倉涼子

ご存じのとおり、「黒革の手帳」は、米倉涼子がその魅力を最大限に活かした代表作と言ってよい。銀座の女性の高級感のある華やかさと色気が出せる女優は、思ったよりも少ない。ものすごくカワイイのに、なぜかそれなりのスタイルをさせてもキャバクラ嬢がぴたりとハマらない女優と同じことかも。和服姿のママが一番似合うのはダントツに1982年版の山本陽子。

でも、この作品の魅力の元はタイトル。サイトを作っていてタイトルの難しさにいつも悩む。松本清張はタイトル付けの天才で、「黒革の手帳」と聞くだけで、何?何?と読者の興味を引く。これが、黒革ケースのスマホだったらずいぶん印象が違うよね。

疑惑

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ――。妻の名は鬼塚球磨子(おにづかくまこ)。彼女の生い立ち、前科、夫にかかっていた高額な生命保険について、稀代の悪女「鬼クマ」と断定しセンセーショナルに書き立てる記者と、孤軍奮闘する国選弁護人の闘い。球磨子は殺人犯なのか? その結末は?
(出典:amazon内容紹介)

「疑惑」の主人公、鬼クマも今までいろんな女優が演じている。この強烈なキャラを演じるには、それを圧倒する個性と演技力が必要だ。最初に映画化されたときの桃井かおりの演技がすごすぎて、それ以後の女優たちは苦戦したが、最新版の尾野真千子は圧巻の演技をみせた。

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1982年版映画:桃井かおり
1992年版ドラマ:いしだあゆみ
2003年版ドラマ:余貴美子
2009年版:沢口靖子
2012年版:尾野真千子

夜、雨の中を夫とドライブしているとき、ふと思い出すのが「疑惑」の中の1シーン。ネタバレになるので詳細は省略。現代でも十分にありそうな話で、「黒い家」と並んで保険金詐欺を扱ったミステリーの2大名作の1つに挙げたい。

けものみち

割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。
(出典:amazon内容紹介)

最初に読んだとき、あまりに大人な小説でクラクラした。仲居だった民子が、政財界の黒幕で身体の自由のきかない老人の愛人となって共に暮らす、という設定から想像されるようにドロドロ感がすごい。

民子は、後の愛人になる男にそそのかされて、病気で寝たきりの夫を焼き殺す。そこから、山野で人間ではなくケモノが通る道、つまり、けものみちを歩く人生へと転落していく。でも、一方で、けものみちに一歩踏み出すことに憧れる女性も多いはず。自分には絶対に起こり得ないシチュエーションだからこそ、今までに何度もドラマ化されて人気となっている。

1982年版:名取裕子
1991年版:十朱幸代
2006年版:米倉涼子

衝撃すぎるラスト。救いがないわ!

ゼロの焦点

前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曾根であった! 夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。
(出典:amazon内容紹介)

松本清張の代表作に挙げられることも多いこの作品。2009年には当代きっての人気女優3名がヒロインとして大ヒットしたことが記憶に新しい。

鵜原禎子:広末涼子
室田佐知子:中谷美紀
田沼久子:木村多江

舞台は戦争直後。この時代背景が事件の大きな鍵となるので、今の時代にはピンとこない話かもしれない。でも、ほんの半世紀前まで、女性はこのような環境におかれていたのかと思うと感慨深い。時代に翻弄された3人の女性たちが本当に美しく映像化されている。正直なところ、原作と映画のイメージは違うが、是非一度見てもらいたい一本だ。

わるいやつら

“どのように美しくても、経済力のない女は虫のように無価値だ”医学界の重鎮だった亡父の後を継ぎ、病院長となった32歳の戸谷信一は、熱心に患者を診療することもなく、経営に専心するでもない。病院の経営は苦しく、赤字は増えるばかりだが、彼は苦にしない。穴埋めの金は、女から絞り取ればいい……。色と欲のため、厚い病院の壁の中で計画される恐るべき完全犯罪。
(出典:amazon内容紹介)

こちらは上の4作と異なり、注目すべきは主人公の男性の病院長、戸谷信一。見事に「ゲス」な嫌な男と、それを取り巻くゲスな女性陣。誰もいい人が出てこなくて、どんどん悪事がエスカレートしていく展開がかえって面白い。女たらしの医者なのに、頭の切れるワルではなく、ただ女にだらしなく間抜けな男は、おそらく演じるのが難しい役だ。トヨエツファンのわたしだが、古谷一行の方がずっと戸谷院長をうまく演じている。

最後の締めの「そう来たか!」というどんでん返しが見事。

1980年映画版:片岡孝夫
1985年版ドラマ:古谷一行
2001年版ドラマ:豊川悦司
2007年版ドラマ;上川隆也

昼メロでも深夜ドラマでも、もう一度俳優陣を変えて見てみたい一作で、わたしは清張作品の中でかなり好き。

 

夜長はときに悪い女にどっぷりつかってみてもいいね。

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