どんな翻訳支援ツールをお使いですか?

翻訳会社に登録してもらうためには、就活と同様、自分が作成した職務経歴書や履歴書を送る。会社によっては、独自の応募フォームに記入させられることもある。多くの場合、応募フォームには、

「どんな翻訳支援ツールをお使いですか?」

という項目があるはず。

キャリアだけは長いわたしなので、様々な翻訳会社とおつきあいしてきた。最近はあまりエージェントの新規開拓をしていないので、最新情報を正しく把握できているかどうかは不明だけど、まわりの声を聴いても「翻訳ツール必須」、「翻訳ツール推奨」という会社が増えてきていることは確かだ。

Google翻訳などを使う一般の人々もお分かりのように、翻訳ツールもどんどん進化している。プロが使う有料ツールは言うまでもない。今後もこの流れは加速していくだろう。

おかんおかん

通訳ツールの進化がすごい!

世界を相手に仕事をする人はますます増えるから、今後は今のツールももっと進化するし、新しい翻訳ツールも生まれてくるだろうね。

ツール是非論はいろんな場所で語られているけど、時代の流れにあらがうことは大変かなと思う。

フリーランスのわたしが「翻訳」という仕事に求める第一の目的は、まず「稼ぐ」こと。そのためには効率化は欠かせない。アラフィフともなるとMAXの集中力が続くのは1日5時間程度ではなかろうか。それを文字通り「支援」してくれるのがツールの存在。

ツールの利用後は、利用前よりも、より短時間で同じ翻訳量をこなすことができている。

おかんおかん

といっても、どのツールを選べばいいの?というのが次の悩みどころ。

確かに。この記事は、特定のツールを推奨するものではないが、選択の参考にしていただきたい。

翻訳支援(CAT)ツールとは

翻訳支援ツールとは、CATツールともいわれる。CATは「Computer Aided/Assisted Translation」の略語。

CATツールというものを知らない人のために-

翻訳支援ツールは、翻訳を行う者(翻訳者)がより高品質な翻訳を効率的に行うために使用するソフトウェアの総称。

翻訳支援ツールとして主なものは、翻訳メモリツールと翻訳ソフトである。翻訳者の間でもしばしば誤解されているが、翻訳メモリツールと翻訳ソフトは基本的な発想をまったく異にするものである。翻訳メモリツールと翻訳ソフトには、それぞれ長所と短所がある。(Wikipediaより)

ざっくりと分類するならば、「google翻訳」に代表されるように、ある程度の翻訳をしてくれる「翻訳ソフト」型と、蓄積された用語や文章をメモリとして利用する「翻訳メモリ」型とがある。

代表的なものを挙げると、以下のとおり(青字は私が所有しているもの)

  • Felix
  • Google Translation Toolkit
  • Memsource
  • OmegaT
  • TRADOS
  • TraTool
  • Wordfast
  • 対訳君
  • The 翻訳
  • Pat transer
  • Med transer
  • memoQ

業界でおそらく最も広く使われているのが「Trados」。それに加えて、特許翻訳者の間では「Pat transer」、「The 翻訳」、医薬翻訳者の間では「対訳君」、「Med transer」などがメジャーではないだろうか。

支援ツールの代わりにマクロや他のアプリ/ソフトを使いこなしている翻訳者も多い。逆にマクロを全く使用しない翻訳者は少数派だろう。

「MemoQ」のお勧めポイント

その中で、最近ユーザが増えつつある「memoQ」。わたしも今はmemoQを中心に使用している。

今回はmemoqとTradosとを比較して、わたしがmemoQを愛用している理由を述べてみよう(上で書いたようにツールは4つしか実践したことはない。そして、おそらく、多くの機能を使いこなしてはいないので単なる個人的見解)。

1.相対的に安価

  •  Trados

SDL trados studio 100000円:全機能付き:

SDL trados studio plus 124000円:全機能に加えて、2台のPCにインストール可。

  •  memoQ

620ユーロ/539ドルのいずれの通貨も可。(2016年12月現在で75000円/62000円)。現在はドルの方がお得だけど、わたしの購入時はユーロの方が安かった。必ず為替をチェック要!2台までインストール可。

とはいえ、どちらもproz.comの「支援ツールキャンペーン」などでしょっちゅうセールをやっているので定価はあってなしのごとく?こちらの記事もご参考までに。

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先日、memoQの無料セミナーに出かけて、このようなクーポンコードをいただいたのだけれど、わたしがProz.comで購入した時と全く同じ値引率(笑)。

TradosもmemoQも30~40%程度のセールはよく行っているのであわてて飛びつく必要はない。言い換えれば、1年の数回の大幅割引に遭遇したら買っておくのがお得。

このように、お値段的にはmemoQの方が安く、しかもbasic版でも2台までインストール可。

そして、実はmemoQはTrados形式にも不具合なくコンバート(変換)できるので、Trados必須だから・・・という場合でも、memoQ上で作業をして最後にTradosに流し込めばいい。

2.直観的なインタフェース

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先に導入したのはTradosの方。そのときに参考にさせていただいたのが上の本。それ以後もバージョンアップに連れていくつかの本が出版されている。

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*英語のタイトルだが日本語マニュアル

*Tradosの他にもMemoQ、Memsourceの基本的な使用法を解説

Tradosに関しては先輩諸氏がイロイロとサイトでも説明してくれている。「用語集」を組み込み、なんとか使い始めるまでは、数日間四苦八苦した。セミナーや説明会には参加せずに独学で導入したので無駄な時間を費やしたと思う。ただし、その四苦八苦が、ツールの仕組み等を知るうえでの勉強にもなった。

一方、memoQの方は、画面を見れば直観的に操作できる。オンサイトのHelpを参照する程度で、おそらく用語集といくつかのメモリを組み込んで実際の翻訳作業を始めるまでは半日程度だったと記憶している。しかしながら、これはTradosでの苦労があったからで、一からmemoQを導入したとすれば、もしかしたら迷った時間も増えたかもしれない。

その意味では、この2種に限定せず、安いツールを導入するか、無料トライアル期間を利用するかして、操作に慣れておくと、どのツールでも構成自体はそれほどの大きな差はないので、すぐに慣れることができるはずだ

おかんおかん

ツール難しそう・・・と怖がっている人がもしかしているかもしれないけれど、特に恐れずには足らず。

使いこなすまでにはちょっとした慣れが必要だけど、最低限の操作は数日で理解できるよ。

別に間違って使ったからといって壊れるものでもないしw。

3.スムーズな動作

何よりもmemoQで嬉しいのが反応の早さ。Tradosの場合、機械が自動的に示唆してくれるよりも、自分が単語を打ち込むタイピングの方が早くて、そのタイムラグにイライラすることが多かった。フリーズもちょくちょく発生。ちなみにPCのスペックはSSD、16GBでそんなに悪くないはず。

(追記:動作の速さに関しては、PCのスペックをさらに向上させ、TRADOS2017にしてからは動作の動きの遅さはそこまで気にならなくなった)。

memoQに変えてからは、テキストエディタよりはさすがに遅い気もするが、ほぼストレス無く文章を打ち込めている。フリーズの経験は今のところなし。

スピードに関しては、自分のメモリの使用法や、操作のテクニックが悪いところがあるのかもしれないが、解決方法を探るよりは楽なツールを選んだ方がいいかという結論に達した。

まとめ

残念ながら、上で言ったように、今のところ、memoQ には公式日本語マニュアルや、Tradosのような入門本やネット上でのまとまったサイトもないので、本当に知りたいときは、いちいち自分で英語のHelpを参照するのが面倒と言えば面倒。

先日参加したmemoQのセミナーでも

「そんな機能があったのか!」

と驚くほどの初心者ぶり。少しずつ便利な使い方を導入していって、さらなる効率化と、完成品のクオリティの向上に努めたい。

追記:

この記事を書いて以降、2019年度はツールの使用割合がさらに高まった。実際にはユーザ指定のため、MemoQよりもTRADOSの使用率が高くなっている。Memsourceの使用も少しずつ増えつつある。ツールについては、折を見てまた別記事をあげてみたい。

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