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年功序列/終身雇用って死語になる?

私は結婚と同時に仕事を辞めて、パート、ダブルワーク、フリーランサー、と経て、会社員とは早くにおさらばした。本当は自由を求めてフリーになったというよりも(それもあるけど)、会社がつぶれたり、就活が全然上手くいかなかったゆえの今で、カッコイイ会社に、キラキラとした洋服を着て通い、ワクワクと同僚や上司と過ごす、そんな素敵なOL生活ができれば、会社員生活は手放さなかった気がする。

自由な選択が可能なフリーランスの生き方は自分に似合っていると思う一方で、人に使われるのが嫌!という気概もそれほどなく、そこそこの協調性で会社員を続けることもできただろう。自由業は本当に孤独だ。心から共に喜びを分かち合う相手も、落ち込みを慰め合う相手もいない。何もかもが自分一人にのしかかり、ときに投げ出したくなる。翻訳は特に地味で孤独な作業が大半を占めるため、一人暮らししていたとしたら耐えられなかったかもしれない。

ところが、年功序列や終身雇用といった言葉はだんだんと死語になりつつある。なんだかんだ言っても定年まで勤めあげるかと思った夫も、私よりはるかに遅れてフリーランスの道に脚を突っ込む可能性が出てきた。早々とフリーの道を選んだ(というか選ばざるを得なかった)のは、実は先見の明と言えるのか。

10年先に生き残る仕事

2015年10月、英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授と、カール・ベネディクト・フレイ博士とが、アメリカの労働人口のうち約47%の人の仕事がコンピュータに置き換えられると予測した。この研究はけっこうな反響を呼んで、広く話題になった。

アメリカの話でしょ?いえいえ、日本でも2015年12月、この2人の博士と、野村総合研究所とが共同研究を行い、国内601種類の職業が人工知能やロボットなどに置き換わる確率を計算した。その結果、今後10~20年のうちに、日本でも労働人口の約49%が、人工知能などに取って代わられると予測した。

消える職業
出典 http://think-time.club

銀行マンや税理士のような高給職業も例外ではない。ブリーダーやネイリストは、人の繊細な手技や、細やかな心遣いが必要だろうと思うものの、消えていく仕事に入るのか。

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2013年現代ビジネスも、経済のプロたちにアンケートを採った結果、このように「2020年になくなる仕事」を発表した。

出典:週刊現代2013年7月25日

「翻訳者」はこうした職業には早々に出てきても良さそうな割に、挙げられているのは「通訳」の方である。これら予測される「なくなる仕事」と「その理由」を読んでいくと非常に興味深い。

「翻訳」は消えていく仕事なのか

悲しむ人

 

「日本語と欧米言語との根本的な違いや、行間を読み取る力はコンピュータにはない。文化的背景や一般的知識、比喩などを、コンピュータに読み込ませて理解させていく作業は大変で、人間の想像力や認識力や表現力を抜くことはできない」。

--と、人間の優位性を語る同業者は少なからずいる。でも、20年間翻訳の仕事を続けてきて、20年前、10年前、と今の自分の翻訳スタイルとは大きく変わっている。そして、その変化の速度はますます加速している。近い将来、自分で勉強しなくても便利なマクロ(入力の単純作業を自動化してくれる)は自動的にワンタッチで組み込まれるだろうし、翻訳ツールもどんどん進化する。ツールが普及すれば価格も下がり、参入障壁は下がる。

急激に高速化する処理能力で、膨大なデータを読み込み、学習していくコンピュータに対して、

「いや自分はそれよりも高いレベルの商品を提供し続ける」

と自信を持って言える、そしてそれを実証する人は、今後も生まれてくるだろうか(私にはその自信がない)。

多くの専門家が予想するとおりなら、10年かそこらで、コンピュータを超えるトップレベルの翻訳者を残して、平均レベルの翻訳者の収入は低下するだろう。医療業務でさえ、スマホ等の端末に替わられ、医師すらトップレベルでなければ生き残りに苦労すると言われているほどだ。

これからのこと

自分で書きながら悲しくなってきた。でも、予想は予想にすぎない。これだけ世界がネットワークでつながり、狭くなっている現代、そして未来。人と人をつなぐ翻訳の役割は決してなくならないし、翻訳を勉強して得られるスキルや能力は、想像力が求められる翻訳分野や、ニッチな翻訳分野、そして他の業態との融合によって、さらに活かすことができる。コンピュータと共存した生き残り戦略もあろう。翻訳は「黒子」だけど、黒子を続けていく中で、そこから一歩進んで、誰か/何かのコピーではない、本当のオリジナリティのある表現や文章が磨かれていくことだってきっとある。

50代に入って、今まで勉強してきた語学って無駄だったの?とは思っていない。この先10年間、さらには20年間、この職業がどう変遷していくのか、危機感ではなく、好奇心を持って見つめていきたい。そして、その一角にできれば自分も関わりたい。だって、年功序列や終身雇用が死語だとしたら、同じ仕事やキャリアにしがみつくことはないのだから。年齢や性別に囚われないフラットな立場で、新たなことに挑戦できるのがフリーランスの良さ。

これから翻訳者を目指す人や卵さんも、やっぱり入ってきてほしい。翻訳業が1年毎に収穫が見込めるお米や野菜だとしたら、果物の木でも植えながら5年先10年先の収穫を楽しみつつ、とりあえずお米を育ててみない?と言いたい。


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