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和訳と英訳のどちら?

分野に限らず、

「和訳と英訳のどちらを勉強すればいいですか?」

という質問をたまにいただく。

基本的には、どちらでもいいんじゃないかなと答える。

 

おかんおかん

コインの裏表みたいなもので、結局はひとつのもの。どちらを学ぶかというのはあまり意味がないよね。

 

ただ、そう言ってしまっては身も蓋もない。生きてきて、今までにインプットされてきた言葉は、英語よりも日本語が圧倒的に多いはず。こううやってブログを書くにも日本語だとさほど苦労はしないが、英語で書けと言われれば何倍も時間がかかる。

ネイティブ並みに英語が書けないのに、仕事を受けることができるのか(受けてもいいのか)と言われれば怖い。

しかし、世の翻訳者がほぼバイリンガルクラスなのかと言うと、一般の人々が思うほど、意外とそうでもない。

日常会話がペラペラというよりも、医薬/特許/金融/ITなど、それぞれの専門分野での知識と慣習に詳しく、それに関わる英語が書ける方が仕事を受注しやすいし、その後も継続的に依頼を受けることができる。

個人的和訳/英訳事情

私個人の和訳/英訳事情をお伝えしよう。

翻訳者としてのスタートは、少しだけ語ったように出版翻訳だったため和訳から。最初の数年間は和訳オンリー。

そのうち「特許翻訳」に巡り合い、OJTを受けながら、少しずつ英訳の仕事をこなすようになった。特許明細書に限らず、特許に関連する技術文書、その他は契約書、HPのリリース系文書などにわたって英訳の仕事を受注するようになった。

不思議なことに、年間通じて、あるいは月間通じて、英訳多かったな、随分和訳が増えてきたな、などと両者のバランスが大きく変わる。おそらく、その時々の社会事情にも関連する。エージェント経由の仕事の場合は、翻訳会社が新たに取引を始めたクライアントの割り振りを変えたときなどだ。

卵さんや駆け出しさんは、「和訳と英訳のどちらの仕事が多いのか」、「どんなクライアント(できれば具体的な業種と社名まで)を抱えているのか」、をリサーチしながらトライアルにも応募していくとよい。最初は、周りのベテラン翻訳者さんや、翻訳祭のような場所で聞いてみたり、自分が契約しているエージェントがあれば、そこを調査の糸口にしたりする。

次に、それらを自分なりに検討して、どういう分野を開拓し、営業につなげていくべきかを戦略的に見極める。

 

詳細をエクセル等でまとめて図表化したいと思うものの、現実では完全には実現できていない。法人化後の11年間に関しては、税理士さんが取引クライアント別にまとめてくださっている。加えて、前年度と今年度の月次推移や、過去5年間の損益構成など、様々なグラフも提供してくれて、大変参考になる。

 

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月次推移

 

二八(にっぱち:2月と8月に売り上げが下がる法則)は翻訳業界ではあまり関係ない模様。

 

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損益構成

 

リーマンショック(20年度)の影響を21,22年度とややひきずっている。おかげさまでその後は概して右肩上がりの後、横ばい。

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英訳と和訳ではどっちが儲かる?

総収入ではなく、かかった時間と収入からのコスパから判断すると、私の場合は英訳の方が効率的だ。つまり、英訳の多い月、年の方が収入は上昇しやすい。

翻訳レートの値崩れに関してはよく話題に上がるが、英訳と和訳ではどうだろう。業界では英訳人口の方が足りないと言われている。

しかし、参入してから英訳レートは低下傾向だが、和訳は横ばい状態。むしろ上昇傾向(いずれもエージェントベース。直受けの場合はその限りにあらず)。

和訳の場合、ネイティブなので文章にこだわりすぎて時間がかかるというデメリットもある。一方で、参入者が比較的多い和訳の点で、和訳にこだわることは何らかの差別化につながる可能性もある。英訳に比べて、和訳に対する翻訳会社やクライアントの要求レベルは年々上がっている気がする。英訳も同様だが、英訳は評価が安定しづらい。

こうした点を考えて、英訳をさらに強化して単価アップを目指し、仕事量も増やしていくことが、近い時点での目標とも言えるが、やはり両者のバランスをイーブンにしておきたいのが本音。そのわけを以下に述べる。

両者を対応するメリット

1.仕事量の増大

言うまでもない。特許で言えば、翻訳が発生するのは内外案件(国内企業が外国の特許庁へ出願する)と外内案件(外国企業が日本国特許庁へ出願する)とがあり、特許事務所に就職または特許事務所と仕事をするならば、外内/内外ともにこなせると仕事の幅が広がる。

2.仕事分野の拡大

医薬、契約書などのリーガル等々、多くの分野ではまだ英訳者の方が不足気味のように思う。個人的には医療機器英訳の割合を拡大したい。

3.効率の向上

午前:和訳、午後:英訳、のように一日の内でスイッチすることが多い。和訳英訳かかわらず、飽きっぽいので、案件を並行することも多々ある。

私の場合、もしかして脳の他の箇所を使っている?と感じる。アウトプットする対象を英語と日本語との間でスイッチすると、フレッシュな気持ちで原稿に向かえて疲れが少し軽減。

また、寝かせて時間をおくことにより、新たな気づきで訳文の向上にもなる。

4.知識の強化

仕事は最大の勉強の機会。和訳をやっているならば、当たり前だが原文の英語から英訳を学べる。その反対も真。

完全な日本語原稿になかなか出会わないように、文法も構成も完璧な英語に相対することは少ない。だが、知らなかった単語や、使ったことがなかった表現を知ることができる。実はこのメリットが一番大きい。

この過程で、分野の中でもさらに狭い分野の英→日、日→英の文書の中から、自然とオリジナルな対訳辞書が出来上がってくる。

専門家のネイティブ同士の間ですら、英語表現に関して意見が食い違うことがある。ある意味、良文はもとより「悪文」も良きレッスンと考えればよいのかも。

 

結局はコチラの記事で書いたように、和訳と英訳も翻訳という仕事の面での「リスク分散」につながるのではないかと考えている。

 

「おまえもそう思う?」

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のんのん

うん、そうかもね~。