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皆さんは「ネジザウルス」という商品をご存じだろうか。それについて話す前に、1冊の本を紹介したい。

 

ネジザウルスの逆襲

◎シリーズ累計250万丁! 話題の大ヒット工具は、なぜこんなに売れたのか
2002年の発売以来、シリーズ(5製品)累計で250万丁を売り上げ、いまも売れ続けている「ネジザウルス」。
年間1万丁も売れればヒット商品とされる工具業界にあって、驚異的な販売実績を記録しています。
開発したのは、大阪に本社を置くエンジニア。従業員30名の町工場が、なぜこれほどの大ヒット工具を生み出したのか。
同社社長の髙崎充弘氏が、こだわりの商品開発やユニークなプロモーション活動など、
中小企業がヒット商品を生み出すためのヒントを披露します。

この本を手にしたのは、先日100万人のメカニズム-機械ってなんだろうで、「100万人のメカニズム」を紹介した折に、11章の「斜面の秘める巨大な力-ねじのはなし」を読み返していたのがきっかけだった。

ところが、入手して読み進むうちに、内容にぐんぐん引き込まれていった。というのも、私が勝手にこの社長と会社にひどく親近感を覚えたせいである。

●主人公の社長と父親とのシンクロ

株式会社エンジニアの社長、高崎充弘氏が、脱サラ前の私の父親と同じ会社で働いていたこと。以前書いたように、実家はサービス業であるが、サラリーマン時代と同種製品を扱っており、高崎氏と同様、父も「ものつくり」が大好きな人だった。実家も自ら設計し、何でも自分の手で一から作ることが好きだった。趣味はギャンブル(笑)の他は盆栽。全くファザコンという意識はないが、もしかすると娘は父親の影響を色濃く受けるものなのかもしれない。私もエンジニアの男性に心惹かれる。

●東大阪の中小企業

株式会社エンジニアがある大阪市東成区。東大阪は、日本有数の中小企業の密集地で、「ものづくりの拠点」として、高い技術を持った零細工場が多数集まっている。宇宙開発協同組合SOHLAを設立し、人工衛星の開発を進めるなど、技術力は高く、世界シェアを占める企業も多い。面積に対する工場の割合では全国1位、また、工場の数も大阪市や横浜市などの政令指定都市を除くと1位である。友人の中にも東大阪の中小企業主の家庭の子が何人かいる。

●知財戦略の重要性

今の私は、仕事の過半数が知財関連の仕事である。同社の仕事に関わったことはないが、東大阪の中小企業の発明にはたびたび関わっている。第4章の「中小企業は知財戦略で飛躍する」、第5章の「発明ほどおもしろい仕事はない」と2章も割いて知財/特許について書いている。純粋な読み物としても十分に楽しめるので、知財に興味がない方でも「半沢直樹」の世界を一部味わって欲しい。

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MPDP理論と特許

高崎氏は、ヒット商品を生み出すための不可欠な要素として4つの要素を挙げている。それがMPDP理論である。

M-マーケティング(潜在ニーズ)
P-パテント(知財戦略)
D-デザイン(デザイン)
P-プロモーション(広報活動)

MPDP

この中のPatent(知財戦略)は、一見地味だけどとても重要。

特許が製品の売れ行きに重大に関係するケースは2つ。

●特許侵害を訴えられる

「貴社の製品AAは、弊社所有の特許第○○号を侵害して・・・」という特許侵害の警告書が届く(これは「ラブレター」と呼ばれているらしい」)。真似をしたつもりでなくても、同じ技術の特許が既に取得されていれば、販売差止命令や、損害請求を受ける可能性がある。

●模倣品が出回る

形状も機能も酷似し、しかもずっと安い模倣品が出回ることがある。でも、特許を取得していなければ、自社商品のオリジナリティを主張する根拠がない。結局は自社商品を値下げしなくてはならなくなり、価格競争に陥る。

ネジザウルスは国内外で31の知的財産権を取得しているという。ご参考までに、これもその1つかな。

【公開番号】特開2014-94441(P2014-94441A)
【公開日】平成26年5月22日(2014.5.22)
【発明の名称】ビス除去用のねじ回し工具

【課題】操作溝が潰れてすり鉢状に削られた状態のビスでも、食込みエッジをビス頭部の周縁に食込ませて、ビスを確実に取外せるビス除去用のねじ回し工具を提供する。

 

ネジザウルス

さて、最初の話にやっと戻る。ネジザウルスとは「頭のつぶれたねじ」を外すためのツール。錆びたねじ、潰れたねじ、固着したねじ、特殊なねじ、どれもネジザウルスでつかんだだけで簡単に外せる

ネジザウルス

私は海沿いに住んでいたので、塩害ですぐに何でもさび付いてしまう。でも実は、ネジザウルスは、こんな使い方もあったのね。

●ジャムの蓋

●ガス管の穴開け

●ポン酢のキャップ開け

●ペットボトル潰し

うんうん、ネジザウルス、キッチンにも欲しくなる。

自分が関わった仕事が、ある日、製品化されて、たくさんの人々のお役に立っている。地味で単調な仕事だけれど、楽しみもちゃんとある。

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