Sponsored Links

表現を磨きたいですね(I)-類語辞典いろいろでは、類語サイトと、私が持っている類語辞典を紹介した。もちろん、類語辞典に類するものはまだまだたくさんある。

類語辞典いろいろ

『角川類語新辞典』に収められた現代語を中心に新語・連語2000余語を加えた分類語彙辞典。十進分類方式による「語彙分類体系表」に基づいて分類収録し、各見出し語の下に用例・語釈・位相・対意語・参照番号を記載する。巻頭に五十音順索引を付す。

角川類語新辞典に合わせて買っておくとよいのがこちら。レビューの評価も高い。変わったものでは、こんな辞典も。

近現代の作家197人の作品806編から、感情の微妙な陰影を描写した用例を収録。人間の微妙な心理を描いた多彩な用例をヒントに自分の気持ちにピッタリ合う感情表現ができる。

ついでに、

官能小説の醍醐味は、その独特の言語感覚にある。描くべきものが決まっているだけに、その表現の多彩さ、用語の多様さには目を瞠るものがある。本書は、 2005年以前の数年間に発行された官能小説663冊の中から、官能小説に独特と思われる用語や表現をセレクトした用語辞典。約2300語を五十音順に整 理し用例を示した、本邦初のユニークな辞典である。文庫化にあたり「絶頂表現」を付加。

おそらくセットで併せて買うべき「絶頂」(OH!)表現。

官能小説のヤマ場はセックス描写で、その最高潮は「絶頂」シーン。「絶頂」に達し、快感のきわみで女が見せるあられもない姿態やさけびを、官能作家はどんなふうに描写しているか。淫猥な官能表現の妙味1943例。

 

原点は読むこと

類語辞典は確かに便利。でも、当然お気づきだろう。下の3つの辞書は、作家が実際に使った表現を集めた用例集である。

ことばの意味は言うまでもなくコンテキストによって変わってくる。その単語や句だけを切り取っても、本当はその言葉が何を言いたいのか、何を暗示しているのか、何を訴えたいのか、は正確に理解できない。文章の流れや、記事/小説/論文/コラムなどの全体の意図や主義主張とも絡んでくるものだから。

文学作品はもちろんのことだけど、技術文書やそれに近いものでも、その考え方は同じだと思う。そして、それを正確に、かつ迅速に理解することは、何よりもインプット量ではないだろうか。大量に入れる、読む。その中で、良い文章と悪い文章や、正しい文章と誤った文章の違いが分かってくる。辞書、事典、参考書、マニュアル、教科書などをじっくりと読み込むことも大切だけれど、自分が専門としたい分野、さらには、専門に限らず様々な分野(オーバーラップしてくる箇所は必ず出てくるから)の本を多読することが、遠回りに見えて、近道なのかもしれない。

よく、ビジネスなどの専門家も「まずは参入しようとする分野の本を100冊読め。スタートはそこから」だという。はるか昔、大学1回生の最初の授業で、英文学の教授から「とりあえず洋書を好きなものでいいから50冊読みなさい」という課題を出された。翻訳本をほとんど全部読んでいた、大好きなアガサ・クリスティの原書を何十冊か読んだ。1年が終わる頃、確かに英語を読むスピードが格段に上がった気がする。アガサは、私の英語力では本当はちょっと難しすぎたのだけど、犯人も粗筋も知ってたから読めた(笑)。シドニー・シェルダンなんかでもいいと思う。

特許でも医薬でも、毎日毎日特許明細書を1本、医学論文を1本、読む(本当はもっともっと読めばいい)。自分の好きな本もたくさん読む。仕事には直結しないように思えても、自分が発信するときの表現力は絶対に身につくし。著者が描いた内容を疑似体験する中で、自分の中に知識や気づきが蓄積されていく。私自身は、本を読んでいても、ある意味、分からなくてもいいんだと思うようにして、そこは飛ばしている。ところが、あるとき、自分の実体験と重なり合い、ひらめき、人間的に成長したり、あるいは、仕事が加速したりするきっかけを与えてくれる。そんなことってない?


男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子(よしこ)。20年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う(たゆたう)國子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。 濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。

古井 由吉(ふるい よしきち)は、日本人作家の中で、5本の指に入るほど大好きな作家のひとり。特にこの「槿(あさがお)」という作品が好き。最初に読んだときは、よく意味が分からない場所がたくさんあった。彼の作品は、文章は平易だが、摩訶不思議で、何度も何度も読み返したくなる。中年になってやっと、40を過ぎた男と女のエロスの意味が理解できてくる。その官能表現は事典で読んでもしっくりこないだろう。

古井 由吉は、日本の小説家、ドイツ文学者。東京大学大学院独文科卒。いわゆる「内向の世代」の代表的作家と言われている。代表作は『杳子』、『聖』『栖』『親』の三部作、『槿』、『仮往生伝試文』、『白髪の唄』など。精神の深部に分け入る描写に特徴があり、特に既成の日本語文脈を破る独自な文体を試みている。

こんな文章がいつか書けたらいいなと思う。

Sponsored Links