新しい分野に挑戦するときの辞書の活用

おかんおかん

見たこともないものを訳せって言われても困るわ~。

でもそんなことを言っていたら商売にはならない。まずは、それがどんなものなのかをイメージすることはとても大事。たとえば、

「光ファイバー」

について訳す場合、まずは画像を確認。

通信回線の速さについてくらいしか、日常で光ファイバーという言葉を使ったことがないとしよう。訳すときは急いでは駄目。

よく分からないときは「定義」から。当然のことながら、技術の基本的理論を押さえておくことも必須なのだが、技術の勉強についてはここでは省略しておく。

『広辞苑 第六版』 によると、

光を送るための極めて細い線状のガラス。光通信や医学用内視鏡などに用いる。

次に、私が持っている『平凡社 改訂新版 世界大百科事典』電子辞書で「optical fiber」を引くと、

紡糸された誘電体よりなる光導波路。

コアと呼ばれる中心付近の屈折率の高い部分とクラッドと呼ばれる周辺の屈折率の低い部分よりなる。光はコアとクラッドの境界で全反射を繰り返しつつ,コアの中を伝搬する。光ファイバーの原理はかなり古くから知られていた。

1927年には多数のファイバーを束ねたバンドルファイバー(ファイバーオプティクスともいう)を用いて光学像を伝送するアイデアが出され,50年代に入ってこれが医療用として人体内部の観察に用いられるようになった。(途中省略)

光ファイバーのような導波構造においては、径方向と軸方向の位相関係から特定の全反射角を持った光だけが伝播可能であり、これをモードと呼んでいる(以下省略)・・・

と1230文字にわたって丁寧に説明してくれる。

英英辞書を使おう-Modern Dictionary of Electronics

今度はそれを英英辞書の「Modern Dictionary of Electronics」で引いてみよう。

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optical fiber(光ファイバー)

1.An optica waveguide.
2.A core of transparent material surrounded by a transparent cladding that has a lower refractive index. Both core and cladding are usually made of glass. Because of this arrangement, light rays launched into the fiber are restricted by total internal reflection and are thus confined within the core.
3.・・・
4.・・・

と50行ほどoptical fiberの定義が説明される。

読んでみると、意外と英語の方が頭に入ってくることに気づく。

The length of a fiber is usually much greater than its diameter(通常、ファイバーは径よりも長の方がずっと大きい(長い)).

The fiber relies on internal reflection to transmit light along its axial length.

Light enters one end of the fiber and emerges from the opposite end with losses dependent on length, absorption, scattering, and other factors.

使用されている文章はかなり平易。簡単な文なのだが、こういうとき代名詞や冠詞はどうするのかで迷うことがある。「along its axial length」のようなコロケーションも覚えておくと役立つ。

そこから派生して、光学分野では「absorption」や「internal reflection」はどう訳すのが適切か分かってくる。

internal reflection「内反射」と「全反射」の違いは何か、と調べていくと知識もどんどん広がっていく。

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fiber optics

この辞書には図や絵も多用されていて、「fiber optics」には上のような図も付されていて参考になる。

お気に入りの英英辞書を1冊を読破するくらい使い込むと、文法に自信がつくはずだ。

英英辞書についてはコチラの記事もご参考に。

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